サウナ小屋キット
昨年末、長野県茅野市の薪ストーブ会社、ケンズメタルワークさんからサウナ小屋キットの開発依頼をいただきました。
コロナ禍で安心して入れるプライベートサウナということで、なかなか面白そうなプロジェクトです。
企業案件はすべて断っていたのですが、旧知のケンズメタルワーク高橋さんからのお話だったこと、自分のアイデアも反映されること、そして何よりなんだか面白そうだったので、やらせていただくことにしました。
まもなく特設サイトが公開されるということで情報解禁、レポートさせていただきます。
なお、今回は「サウナ小屋キット」の開発で、DIY出来るサウナ小屋、庭におけるサウナ小屋というのがコンセプトです。
誰でもDIYで組み立てられるアイデアをまとめ、図面を書いては書き直し、そんなことを1ヶ月ほどやったあと、試作品の製作を開始しました。

まずは床パネルの製作、薪ストーブが乗るため、床根太の数を多めにしています。

床パネルには最初から無垢の床板が張られています。
2枚の床パネルをつないでブロックなどの上に敷けば、もう床組は完成です。
ちなみにやはりサウナ小屋はボンドの選択も重要になってきます。
高温の水蒸気が充満するサウナ小屋のこと、本製品に構造用合板やOSBボードなどは一切使用していません。
床板の張り付けには、タイトボンドアルティメットという、 アメリカの食品医薬品局の基準をクリアしたボンドを使用しました。

3尺モジュールの壁パネルをならべて組み立てていきます。
壁パネルには最初から内装材が張られています。
パインの無垢材ですが、これはヒノキや杉、ヒバといった材にも対応していきたいと思っています。
また壁内への湿気の侵入を減らすため、最初から壁には防湿フィルムが張られています。
今回加工にはサエグサフレーミングの三枝さんにご協力をいただきました。
社名のとおり2×4のフレーミングをメインにされているのですが、日本で2×4のフレーミングがメインという方は、なかなか貴重な存在だと思います。

以前から業者を通じて仕事をしていただいていたのですが、今年から弊社が提携するパネル工場の仕事もされるようになり、商品のコンセプトを理解いただけるよう、試作段階から協力していただくことにしました。
実は過去にはギター製作会社に勤められていたそうで、あなたのギターも三枝さんが作っているかもしれません。

壁パネルには熱気を出来るだけ逃がさないよう、断熱材があらかじめ充填されています。
断熱材と室内はポリシートで遮断されています。

サウナといえば気になるのは換気扇。特に薪ストーブ式のサウナ小屋のため、換気は重要です。
とはいえ電気を引くのも大変なので、ドアに開閉給気口を設け、壁の高いところに排気用の小窓を設けて自然換気としています。

壁には透湿防水シートと通気胴縁を施工します。
壁にも屋根にも通気層があり、また通気層がアリの巣などで埋まらないよう、防虫網が施工されています。
「小屋キットでやりすぎだろ」という声が聞こえてきそうですが、作るなら、やはり中途半端なものは作りたくありません!

屋根はアスファルトシングルも考えたのですが、けっこう施工が大変です。
寿命、雪や埃のすべり、施工性、防火地域対応を考慮し、板金としました。
板金は単なるトタン板でなく、ガルバリウム鋼板の高耐久版であるSGL鋼板、それの塗膜を強化したニスクカラーPROです。
いつもの板金業者さんに、板金バサミ無しで施工できる、板金セットを考えていただきました。
そして、2畳のキットとはいえ、屋根部分は1時間ほどで出来る商品になりました!

まずは弊社作業場↑で仮組してほぼ完成。
標準の外壁には、広島産の焼杉が採用されています。
無塗装でも高耐久、非常に味があります。
なお野地板にも合板を使わず、天竜杉の製材所から相じゃくり板加工前の荒板を分けていただくことになりました。

そして先日、ケンズメタルワークさんの工房に移築。
森の中のロケーションは最高です!
外壁は見本として、焼杉とオイル塗料を塗布した杉の2種類を使っています。
なお外壁塗料にはドイツ、クライデツァイト社の天然樹脂、亜麻仁油を主成分とした安全な塗料を使っています。
日本ではプラネットカラーというブランドで販売されています。
またドアは八ヶ岳の建具職人さんに作っていただきました。
ドア下部には給気口があります。
ドアは京都の茶室をイメージし、高さ160センチと小さめになっています。
サウナの熱気を逃がしにくくするという意味もあるのですが、このドアの小ささが、中に入るとなんだか安らぎになります。

写真のドアは未塗装ですが、必ず内外ともに塗装が必要です。
実際の商品では焼杉とそうでない杉が選択できます。
焼いてないほうは塗装が必要です。
この角度から見ると、焼杉じゃないバージョンのイメージが湧きますね。
色は塗料次第、また2色塗り分けも可能です。
気になる価格ですが、まもなくケンズメタルワークさんの特設サイトで発表される予定です。モニター割引があるかもしれませんので、今から予約をされてもいいかなと思います。
またこちらのケンズメタルワークさんの工房では実際にサウナ体験もできるようになりますので、電気サウナとはちがう、森の中の薪ストーブサウナ体験が可能です。
ケンズメタルワークさんの工房は八ヶ岳の東麓、長野県茅野市にあります。
茅野市といえば、サウナーとして有名なオリエンタルラジオの藤森慎吾さんの出身地。今後サウナーの聖地になっていく可能性大ですね。
そして私はサウナの発祥国であるフィンランドの会社と、ログハウスを通じて長年取引をしてきました。フィンランド人の建材バイヤーなども知っていますし、フィンランド製サウナストーブも見てきました。
なんとも不思議な縁ですね。
ただし今回はフィンランドノサウナストーンではなく、富士山の熔岩石をサウナストーンとして使う計画もありようです。
(詳しくはケンズメタルワークさんにお問合せください)
これからの展開が、私自身すごく楽しみです。
こちらの小屋にはまだストーブが入っておりませんので、内装も含め、近々ストーブの様子を続報レポートさせていただきます。
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