雪害で倒壊したカーポートを解体する方法
2021/02/18
私の住んでいる長野県茅野市(標高850メートル)では、一昨日またしても30センチほどの積雪になりました。※現在は山梨県北杜市高根町
幸い水っぽい雪だったこともあり、今日には雪がすっかり溶けて、ほとんどの道路でもスタッドレスであれば、問題なく通行できているようです。
さて2月の大雪では、山梨県を始め、あちこちでカーポートの倒壊が起こりました。
もう半月も経過し、ほとんどは片付いたようですが、未だ順番待ち、あるいは予算がなくてそのまんま、という方もいるという話を聞き、今日はカーポートの解体方法を解説したいと思います。
私はログハウス工事をやる以前、10年以上エクステリア職人をやっていました。カーポート工事はメインではありませんでしたが、それでも計算すると多分700棟以上のカーポートを施工していると思います。月5棟×12カ月×12年=720棟
今回は、もっとも一般的な片流れタイプのカーポートの解体法を解説します。
↓こんな感じです。

なお工程写真が無いので、文章での説明になりますが、ご容赦ください。
エクステリア職人時代の写真というのをほとんど処分してしまいましたので。
実際は同じタイプでも機種によって様々なので、多少アレンジが必要かもしれません。
まず最初に、肝心なのは、解体後の前提として、
1.もうカーポートは作らない。
2.もう一度同じ機種のカーポートをまた作る。
3.機種はこだわらないが、カーポートをまた作る。
ということがあります。これについては、後で説明します。
カーポートの解体に欲しい道具は、脚立(できれば8尺か7尺)、インパクト・ドライバー、グラインダー(サンダー)などです。
インパクトドライバーに関しては、ほとんどのカーポートで長さ7~10センチの十字2番ビット、M13のボックス・ビットが必要です。
機種によりM10、12、14のボックスビットが必要な場合もあります。もしモンキースパナがあれば、時間は掛かるが、それでも大丈夫です。
古いカーポート、特に車をぶつけたり雪害で潰れたなどの場合はネジが回らなくなっている場合もあり、そういう時はサンダーで切る、金鋸で切る、手で引きちぎる(潰れ方により、何回も往復曲げすれば切れます)という方法がありますが、一応手順通りに解体します。
まず、塩ビやアルミの雨樋を外します。
これはネジが素直に外せない場合が多いので、引っ張って割った方が早いかもしれません。
次に、屋根材を押さえている、押さえぶちのビスを外します。
ネジ山が潰れやすいので、しっかり噛まして下さい。潰れた場合は、ニッパーや喰い切りなどで外します。
屋根材の両側の押さえぶちが外れたら、1枚ずつ屋根材を撤去します。
端で手を切らないよう、軍手をして、手の中でスライドしないように。
ポリカなら割れませんが、アクリルなら割れてケガしないよう、注意が必要です。
屋根材がすべて外れたら、側枠と垂木を外します。(屋根材を下側からサンドイッチしていた部材)
雨樋側のキャップがコーキングやブチルゴムでへばりついているので、切るか強く引っ張るかで外します。
次に長手方向の部材(5メートルぐらいの一番長い部材)を、前枠、母屋、後枠という風に高いところから外していきます。
なぜ高い所からやるかというと、滑り落ちたときに下の部材に当たって止まってくれるかもしれないからです。
できれば2人掛かりで、それぞれの柱に分かれてやった方が楽です。
次に梁(はり)のボルトを外します。大抵M13のボックスビットで外せますので、2本~4本のボルトを外し、梁を引っこ抜きます。
引っこ抜く際、ある程度柱から離れたところで抜かないと、前が重すぎて落としてしまいます。
次にL字のブラケット(素材は大抵鉄)を引き抜きます。
先程と同じように、柱のボルト(大抵M13)を全部外し、ブラケットを上に引っこ抜きます。(結構重いので注意)
さて、ここからが問題です。
まず、1.もうカーポートは作らないの場合。
柱の撤去ですが、完全に撤去するならば、電動ハンマー(いわゆるハツリ)でコンクリートを砕いて柱を引っこ抜きます。
ですが片流れカーポートの柱はだいたい55センチぐらい埋まっているのが普通です。
これをコンクリートを割って掘り出すのは結構大変です。
また一般の人でもインパクト・ドライバーを持ってる人は多いが、電動ハンマーを持っている人は稀でしょう。
もし必要なら、買うよりもホームセンターなどの工具レンタルを利用するほうが現実的です。
実際は我々も大抵は地面の位置で、グラインダーで柱を切断することが多いです。
切断には、薄い金属用の砥石を使います。1枚で大抵切れますが、2~3枚あると無難です。
なお、柱にはただのアルミと、中に鉄芯が入ったものがあります。
中に鉄芯がある場合、鉄芯とアルミ柱をつなぐビスが留まっていたり、叩くと音が鈍いので分かります。
この場合は、切るのに多少手間が掛かります。砥石も4~5枚ぐらい必要かもしれません。
柱が切れたら、地面が土なら土を被せる、コンクリートなら、砂利を入れて表面5センチほどをインスタント・モルタルなどで仕上げます。
ちなみにアルミの粉塵はアルツハイマー病の原因になるとも言われています。しっかりとマスクをしましょう。
単純にただの粉塵と考えても肺に良くないですから、できれば本格的な防塵マスクが望ましいです。
ここまでの工程で、エクステリア職人なら1時間掛かるか掛からないかぐらいです。
2.もう一度同じ機種のカーポートをまた作る場合。
柱が破損しているかどうかを確認してください。
破損していない、あるいは許容範囲であれば、柱はそのまま残して下さい。
そして新たに発注する場合、柱無しで注文します。
場合によっては普及品のセールなどで柱無しでも安くならない場合もあります。
ですが工事費は確実に安くなります。
3.機種はこだわらないが、カーポートをまた作る場合。
柱も撤去します。この際、できれば元々のカーポートと、新しいカーポートの柱位置が30センチほどずれていると有難いです。
古い柱を掘り出さずに、切るだけで済むからです。
これは同じ機種でも同様に柱をずらすことが可能です。
屋根が以前の位置より多少ずれても問題無い場合は、そうします。
またカーポートの柱位置は加工によりずらすことができます。
メーカー推奨はプラスマイナス10センチぐらいですが、オーバードアとの絡みなどもあり、20~30センチ移動することもあります。(あまり推奨しませんが)
なお、一回り小さい柱を前の柱の中にすっぽりと入れられることがありますが、極まれです。
最後に解体したカーポートの処分について。
屋根材は、グラインダーで切り、不燃ごみや大型ゴミで出します。(ブリキばさみでも切れますが、鬼のような握力が必要です)
本体はゴムやプラスチックの部品、ネジ類をすべて外し、近くの非鉄金属を扱うスクラップ場に持っていけば、買い取ってくれます。
できれば1M以下に切れば、買い取り価格があがるはずです。
買い取り価格は、電話で聞いたり、ネットで調べたり、確か日経新聞にも載っていたような気がします。(不確定情報)
この方法は、私達業者はできません。私達が引き取った時点で産廃となり、マニフェストの発行されない処分方法ができないからです。
ですので、私たちは逆にお金を払って産廃業者に引き取ってもらっています。
私のような個人でも、産廃処分費が年間60万円だったことがありますよー(泣)
これは非常に不合理な話です。
スクラップ工場は資源としてリサイクルしてくれますが、産廃業者では混載で埋め立てる場合もあり、その場合は資源としてリサイクルされません。
ですので私は、お客様自身での処分をお勧めしています。
処分費が、逆にお小遣いになるわけですから。
といっても、ここ数年の仕事はログハウスがメインなので、お勧めする機会もあまり無いですが。
以上、もし未だに倒壊したカーポートを抱えて困っている方がおられたら、ご参考ください。
また、八ヶ岳周辺の方で、どうしても自信が無いと言う方は、一度ご相談ください。
八ヶ岳周辺で、1日で解体できる状態なら1万5千円、それ以外ならプラス諏訪からの交通費です。
頼んで来てもらって、終わったら5~6万とか言われることが良くあるみたいです。
本当かどうか分からないけど、ネットで10万円請求されたとか。
私なら、10万円くれるんだったら、解体とついでに除雪や芝刈りもしちゃうな~。
なお解体したアルミを乗用車に積めるサイズに切るということもできますし、車が無い、車が汚れるって場合は、近くにスクラップ場があれば、お運びします。
買取料はそちらが受け取ってください。私はただの運転手ということで、これだったら問題は無いと思うのです。
ちなみに新しいカーポートをセルフビルドで作るという場合は上記の逆手順になるわけですが、柱立てだけはプロに依頼してください。
これはログハウスのセルフビルドの場合に、基礎だけは頼んだ方がいいと言うのと同じ感じです。
ただし、柱立てが一番大変で経費も掛かるので、そんなに節約にはならないと思います。
4月からはログハウスの仕事に掛かりますが、3月中だったら新設カーポートのご依頼もお受けします。
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