八ヶ岳で木の家を作っています

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山梨県北杜市・県道28号線沿い・八ヶ岳高原大橋下る

サウナ小屋キット開発ストーリーその2 色々大変だ!

  

前回の「サウナ小屋キット 開発ストーリーその1 ~試作品」から半年以上が経ちましたが、いまだにけっこうなアクセスをいただいています。

やはりサウナ・ブーム健在といったところでしょうか。

ケンズメタルワーク蓼科工房の試作品

蓼科のケンズメタルワークさんの工房に試作品を建て、何度か燃焼実験、サウナ体験をしていただきました。
(書き忘れておりましたが、蓼科工房では既にキットではないサウナ小屋の1号機があり、こちらでもかなりデータを取っておりました)

その結果、小さなことから、なかなかなことまで、色んな問題が起きました。

それらのデータから日々開発を重ね・・・とはいかず、コロナによる別荘需要の増加で、なかなかサウナ小屋のほうに時間が取れませんでした。
まあ、一過性のブームじゃなさそうだし、ゆっくりいい物作ればいいかと思っていたのですが、ふと最近心配になってきたのです。

「前回のブログを参考に、自分でDIYで同じように建てて、同じことになってる人がいるんじゃないか?」

そこで今回は試作品で起こった問題点と、それをどう改善していくかを報告したいと思います。

当初は低温サウナで100度までは行かないかな?という想定で作っておりました。
それが実験してみると、ストーブを焚き始めてから、別の用事などこなしていると、3時間ほどで100度に達してしまいます。
そのまま燃やしていると更に高温になり、思わぬ・・・というか、多少想定していたトラブルが発生しました。

パインの節からヤニ垂れが発生

まず最初に起こったのは、パインの羽目板の節の部分からヤニ垂れが起こりました。
パインのヤニ垂れはマシンカット・ログハウスでも良く起こるので想定内でした。
無節の国産杉ならいうことはないのですが、値段が全然ちがうため、ここは妥協してパインにしておりました。

ただ、発生したヤニの量は想定以上で、しかも2-3回焚いても出続けました。
1-2回焚いてヤニを拭き取れば、あとは普通にサウナを楽しめると思ったのですが、これだと楽しむ前に何回も試し炊きしないといけません。
やはり内壁に関しては国産の無節の杉を使うことになりました。

だが問題は値段です。節有りパインと比べると国産の無節杉は3倍以上もするのですが、これは全国の製材所や木材市場を探し、これまでより安い市場と契約が出来ました。
(買い付けに行って、競りに参加するという手間が発生したのですが、この自分の人件費は無かったことにしましょう)

羽目板の埋木部分のボンドが焼けて垂れる惨事

扉はパインやツーバイ材では捻りがひどいので、ヒノキの節有の羽目板を使いました。
これは節を埋木しているのですが、そのボンドが焼けて垂れてきました。
これはヤニ垂れとちがって真っ黒で、もう絶対クレーム案件です。

ストーブから遠いので扉は大丈夫だろうと思っていたのですが、やはり扉も無節杉、あるいは変形が少なく軽いサワラで行くことになりました。

まあ当たり前と言えば当たり前ですが、失敗から学ぶことも多いわけです。(言い訳)

写真ではわかりませんが、樹脂窓が熱で少し変形しました

ストーブと遠いということでいえば、灯り取りと換気のために樹脂窓を入れたのですが、写真では確認できませんが、これが溶けはしないものの変形しました。
金属は熱くなるので不可ということで進めてきましたが、樹脂も使えないとなりました。
結局、窓に関しては木製単板ガラス窓に、断熱と遮光を兼ねて木戸を内側につけることになりました。
これは、言ってみれば木の雨戸が室内側についてるような感じです。

またストーブをフルに長時間焚くと、100度どころか、もっと上がってしまいます。
人によっては高温で使いたい人もいると、壁の温度は低温炭化する温度に達してしまいます。
そうすると断熱材やポリシートが溶けるといったことも発生しかねません。
これは私の仕事仲間でフィンランド・ログハウスのサウナを何度も手掛けた鈴木さんという人に色々と教わりました。
当初サウナ小屋を作ると決めたときもお話はしたのですが、今回は細部の納まりも色々と聞きました。

また高橋さんの紹介で「サウナをつくろう:設計と入浴法の全て」という本をkindleで購入、熟読しました。
この本はDIYでサウナ小屋を作ろうと思っている方には非常にお勧めです。
サウナブームに乗って、サウナの楽しみ方を書いた本はたくさんあります。
またDIY本やyou tube動画でもたくさんの方々がサウナ小屋製作に取り組んでいます。
でもこれだけ専門的に本物のサウナの製作を解説した本はなかなかありません。
もしあなたがDIYでサウナ小屋を作ろうと思っているなら、ぜひ先に読んでみてください。
無駄な失敗、出費を回避できるでしょう。(失敗者談)

話が横道にそれましたが、結果的に試作品では外側に作った通気層を内側に変え、蒸気が巡回する作りにしました。
これは現場で施工するのは簡単なことですが、これをキット化するのはなかなか難問で、眠れぬ夜が続きました。
ですが試作品の内側に通気層を作ってみると、壁の内部温度はかなり抑えられ、なおかつ蒸気の循環が非常に心地よいということがわかりました。

とはいえやはり壁内はある程度高温になると思われるので、断熱材をPSフォームからロックウールに変えました。
これで一安心というところですが、思わぬ副産物として、ロックウールのほうが吸音性が高いため、中にいて更に落ち着くという嬉しい誤算がありました。

また全体が少し狭いため、4人入るのはちょっと厳しいなとなりました。
これも芯々1820mmから、外々2mにサイズアップしました。わずかな差ですが、試作品と比べるとやはり広く感じます。

ただベンチのストーブに近い部分は結構チクチクと痛いほどの熱さになります。
これはストーブ作家の高橋さんが一念発起、ストーブの周りに金網のストーンケージを作り、ストーブの横と後方にもサウナストーンを充填することになりました。
(ものすごく手間が掛かるそうです)

でもこれのおかげで、刺すような熱さが、柔らかくて心地よい感じになりました。
また結果的に壁が高温になることが防げるようになったので、二重の効果がありました。

壁がかなりの高温になることから、商品化にあたり、旭化成のパワーボードを基材に鉄板を張り付けた炉壁を採用しました。
これはこのあと書くお客様第一号でもそうしていますが、ストーンゲージのデータを検証していけば、不要、または小さくて済むかもしれません。

一つだけ残念だったのは、今まで3時間で達していた温度に4時間掛かるようになってしまいました。
これは入浴の4時間前に火入れをして、4時間ほど時間をつぶしてもらうしかありません。
ですがこの温度が上がりにくい1時間は、1時間下がりにくいという結果になってかえってきます。

一度適温に達したあとは、ちょっとやそっとでは下がらず、ロウリュをしてもサウナ小屋の温度は簡単に下がりません。
色んなメーカーのサウナキットを見てきたお客様が一番心配するのは、サウナ小屋の断熱性です。
断熱性が悪いということは温度もなかなか上がりませんし、中には永遠に100度に達しないようなものもあるそうです。

また100度にあがったとしても、すぐに下がってしまう、あるいはロウリュの度に温度がグッと下がっていては、「ととのう」どころではありません。
だからサウナ小屋は断熱性がとても大事なのです。
ですので壁体内に断熱材を充填、防湿層で蒸気を逃がさない、その内側にヒート・クッションと調湿、防湿層の保護を兼ねた杉の無垢板(これは合板だとボンドが揮発するうえに調湿しないのでダメです)、18mmの通気層(断熱と同時に蒸気の循環を助ける)、その上に仕上げ材として、無節の国産杉の羽目板を貼っています。杉だと節があってもそこまでヤニ垂れは起きないと思いますが、熱くなって黒ずむため、接触した際の不快感や美観を損ねます。

断熱性が良いと、 入浴中せっせと忙しく薪をくべる必要もなく、光を遮った狭い空間で、揺ら揺らと燃える炎を眺めながら、存分にリラックスすることが出来ます。

この点は、テントサウナやバレルサウナと大きく違うところだと思います。

小屋本体の問題では無いのですが、ベンチをしっかり作り過ぎて非常に重く、一人で天日干し出来ないという問題も出てきました。
「出てきました」というか、これは最初からストーブ作家の高橋さんから指摘されていたのですが、いつもの癖であまりちゃちな物は作れないと思ったのですが、 さすがに一人で室外に出せないのは問題だったので、軽量化しました。
具体的にはベンチの座板を30mmから20mmにしたのですが、結果わかったことは、20mmでも全然大丈夫ということでした。

お客様第一号は国産無節杉の板を採用。杉の香りが素晴らしい

またベンチに上がる際、降りる際に少し不安定な気がしました。
やはりサウナですから、ちょっとフラっとすることもあるかもしれません。
ですので、ベンチに上がる踏み台、サウナガードを兼ねた捕まり棒をつけることにしました。

試作品のパイン羽目板。DIYの簡単さを重視したら、額縁が素人っぽくなった

最後に大きな問題ではないのですが、DIYで簡単に組めることを重視したために額縁が目立つようになり、なんだか安っぽくなってしまいました。

試作品の段階ではあまり気にしていなかったのですが、問題を解決するうち、どんどんいい物が出来ていきます。
なんだかここへ来て、中途半端なものを作りたくなくなってきました。
これに関しても、組みにくくならない範囲内で、額縁のサイズや納め方をすべて考え直しました。
この調整は商品化のあとも続いて行くのだろうと思います。

「なんだか違うな」と感じるのは、羽目板がパインというのもあったのかもしれません。
パインはログハウスに普通に使われており、私は嫌いではありません。
というより、私の家もフィンランドから直輸入したマシンカット・ログハウスで、パインの無垢板です。
それがサウナとなると、ちょっと違うなと感じになってしまいました。

これはこのサウナ小屋のコンセプトとの不一致があるのかもしれません。
ケンズメタルワークの高橋さんの当初からのコンセプトとして、「茶室のような薄明りの中で瞑想に耽られて、なおかつ本場のフィンランドサウナのロウリュが楽しめるサウナ小屋」というのがありました。

そこに向けて改良していくうち、パインでは合わなくなってしまったのです。
当初はヤニの問題で変わった内装材でしたが、無節杉に変えてみると、なんとも落ち着くというか、小屋全体が風格があり、また杉の香りが非常に癒されます。
伝統構法の日本建築を手掛ける大工さんもおっしゃっていたのですが、
「日本人はヒノキを礼賛するけど、浴室の壁には杉かサワラのほうがいいんだよ」だそうです。

かくいう私もヒノキの香り、木肌の美しさが大好きです。
当初は内壁を総ヒノキにしたいななんて思っていたのですが、これは今後KOYACの普通の部屋に採用したいなと思います。

ひとつの小屋を作るのにこんなに試行錯誤したことは初めてでしたが、最終的に断熱性を備え、内装は国産の無節の杉、下地の捨て板まで合板を使わず無節杉、無垢の国産杉と、なんだかとんでもないことになってきました。

ケンズメタルワークさんの蓼科工房では、これまで何組かのお客様が試作品改良機でサウナ体験をされています。
雑木林に佇むサウナ小屋でのロウリュは、町中の高級サウナと比べても遜色ない心地よさです。

お客様からは、
「全国各地色んなホームサウナを見てまわったけど、ついに最高のサウナ小屋に出会えました」
そんな言葉をいただくようになりました。

以上、恥ずかしいことから核の部分まで、全部公開して大丈夫?なんて言われそうですが、大手の会社は、同じ物を作っても材料費と人件費が掛かりすぎて、真似して商品化する気にはならないと思います。
そして、良心的な職人は、もっといい物を作るかもしれません。
それは、サウナブームを一過性でない、基盤のしっかりした強固なものへと導いてくれるでしょう。
八ヶ岳むらはま工房とケンズメタルワークさんだけでは、これから増えるであろう、プライベート・サウナ需要を満たすことは到底不可能です。

八ヶ岳むらはま工房もケンズメタルワークも、ものづくりの会社です。
私たちは、良い物を作りたい職人さんと、切磋琢磨していきたいと思っています。

さて、次はいよいよ商品化第一号編です。

 -サウナ小屋キット, 小屋・タイニーハウス, 現場便り, , , |from 村浜 卓司

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